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A-Level Japanese Information

イギリスのAレベル試験と日本語

Aレベル日本語は試験が複雑で難易度も高く、受けるかどうかを含めて最良のプランは人それぞれです。私の日本語教室にAレベルクラスができて3年目になったので運営しながら調べたり講師の先生に聞いたことがお役に立てばと思います。内容はイギリス在住の受験者向けです。

日本語 Aレベル概要

Aレベルとは

イギリスのGeneral Certificate of Education(GCE)の中のAdvanced Level Qualifications の通称。選択した教科で高校相当の教育を修了したことを証明する資格。試験の得点によってABCなどの成績が与えられます。

セカンダリースクールの後の進路

6th Form College(通称シックスフォーム)と呼ばれる学校に進学する人が多いです。大学進学志望者にAレベルの勉強を提供するのがメインの学校です。16歳で入学し、18才で卒業する(Y12-13)2年コースが一般的。日本の高校に似ています。セカンダリースクールに併設されていたり独自の教育機関だったり形態はいろいろです。シックスフォーム以外のカレッジに進学する人もいます。パフォーマンス系、クリエイティブ系、職業の資格を取るカレッジなどそれぞれ特長があり、同時にAレベルや同等の勉強ができる学校もあります。

​大学進学とAレベル

大学から合格(オファー)をもらうためにはAレベルの受験が必要で、試験の成績が志望学部(コース)の合格条件を満たしていなければなりません。大学進学に有効な資格はAレベルの他にIBなどもあります。このページはAレベルの情報のみです。​​​

Aレベルで日本語を選択したい

Aレベルでは3-4教科を選択して勉強し、2年目の夏に試験を受けます。​教科の種類は幅広く、日本語を選択することもできますが、受験者が少ないため学校の中で日本語を学べるところは英国内に少数しかありません。学校外で勉強する人が多いです。Aレベル日本語のグループレッスンの情報はmixbやGoogle検索、個人レッスンの先生探しはJapan Foundation UKのチューターリストがおすすめです。また、日本語を選択することがAレベル全体の中でどのような意味を持つのかはAレベルの教科の選び方をご参照ください。

試験はいつ?

2025年のAレベル日本語日程は5月20日・6月3日・6月12日。​試験は3回あります。公式情報も必ずご確認ください。

市販教材はある?

Aレベル日本語は教育出版社の総合対策教材はありません。​過去問(パストペーパー)で勉強する場合、ASやA2と書いてあるものは少し古い時代のものです。ASは1年目終了時相当の内容、A2は2年目終了時相当の内容です。現在は1年目と2年目に分けずに2年目にまとめて試験を受けるシステムに変わりましたが、昔の試験問題は現在のAレベル学習にも役立ちます。

 

パストペーパー以外の教材

日本語の先生が運営している貴重なウェブサイト。Aレベルの自由研究・文学・映画の教材がダウンロードできます。

  • Japan Foundation UK GCE(=A-Level) Resources

読み物や漢字教材などが紹介されています。GCEはAレベルの正式名称General Certificate of Educationの略称です。

どこで試験を受ける?

所属している学校が一番いいです。学校外で勉強して試験だけ校内で受けたい人のことを個人受験(Private Candidate)といいます。Aレベル日本語をPrivate Candidateとして受けられるか確認してください。Aレベル日本語にはスピーキング試験がありません。その点を強調すれば在学生の受験を引き受けてくれる可能性が高いです。もし断られた場合はA Levelの試験会場をネット上で探します

試験の費用

学校内でAレベル日本語を受験できる場合は学校が負担してくれると思いますがご確認ください。学校外の試験会場で受ける場合は申し込み時期にもよりますが£300ぐらいです。

試験での辞書の使用

辞書や資料の持ち込みはできません。

スピーキング試験

Aレベル日本語にはスピーキング試験はありません。GCSEのような試験官探しは不要です。

AS試験

Y12の終わりに受ける試験。日本語にはAS試験はありません。昔はY12で受けるASとY13で受けるA2という2段階の試験の合計でAレベルの成績が与えられていました。今でも一部の科目では古いシステムの名残りがありAS試験が行われていますが、ほとんどの科目はY13で受ける試験だけになっています。

Aレベル日本語の申し込み 1

Y12が始まったら早めに学校に意思を伝えます。学校で受けられると言われたら、Y13の人は大学のアプリケーションの時に受験生本人がUCASというシステムから申し込みます。

Exam Boardは?

日本語のAレベル試験を提供しているExam Awarding Body/Exam board(イグザムボード:試験委員会)はPearson Edexcelです。学校に聞かれたら、Pearson Edexcelと答えてください。

 

イグザムボードとは?

試験問題の作成・採点を行う機関。Pearson Edexcel・AQA・OCRなどがあり、それぞれ微妙に違うカリキュラムとそれに基づいたAレベル試験を提供しています。どのイグザムボードの試験問題を使用するかは学校が決め、教科ごとに異なります。学校は主要教科のイグザムボードは把握していますが、マイナーな教科についてはよくわからないので、調べる前にひとまず受験者や保護者に質問してくることがあります。

Aレベル日本語の申し込み 2 (UCAS)

UCASとはUniversities and Colleges Admissions Serviceの略で、イギリスで大学進学申し込み窓口になるオンラインサービスのこと。希望の大学やコース名の入力、パーソナルステートメントも含まれます。Y13の秋にUCASのアプリケーションを行います。受験生本人がアカウントにアクセスし、Aレベルの科目を入力。Y13で日本語を受ける人はこの時に他の教科と一緒に入力します。

 

英国の大学願書システム(Y13:でUCASアプリケーション提出からオファーを受るまで)

Y12で日本語Aレベルを受ける人は?

学校で受ける人は、了承をもらえたらあとは試験日にテストを受けるだけでUCASはしないと思うのですが、確実な情報はわかりません。詳しくは学校に聞いてみてください。また、最初に了承をもらってから試験前まで何も言われないかもしれません。学校への確認は、試験の申し込みが済んでいるかを1月半ばに、試験のスケジュールと教室をイースター前後に聞くとよいでしょう。​

日本語のグレード予測

Y13で日本語のAレベル試験を受ける人はUCAS の手続きのためにグレード・プレディクション(予想の成績/Predicted Grade)が必要です。学校から聞かれる時期はY13の10月から12月。日本語の先生に判定してもらい、学校に報告してください。

 

Y12の受験者はUCASはまだ行わないのでグレード・プレディクションは必要ないと思います。ただ、日本語の受験を許可するか判断するために学校に聞かれることはあるかもしれません。

モックテスト

レッスンで本物のモックテストをすると2時間半の試験を3回する時間が必要になります。フルに行うのは難しいので個人レッスンの先生はパストペーパーを部分的に活用したり、宿題として出すことも多いのではないでしょうか。UCAS のPredicted Gradeを日本語の先生にお願いする場合は何らかの形で行ったモックテストの他に、宿題など提出内容も判定材料になるかもしれません。パストペーパーはPearson Edexcelのウェブサイトからダウンロードできるので自分で取り組み、採点を先生にお願いすることもできると思います。

家庭学習だけで挑戦できる?

GCSEが8/9で日常的に日本語を使っている人はある程度可能です。A以上を目指す場合は試験内容についてガイダンスを受けたほうがいいです。自習で行う課題が多いため、対策学習中に適切なフィードバックをもらうことも大切です。数回の個人レッスンを検討してはいかがでしょうか。Y13で受ける人はUCASのGrade Predictionをどうすればいいか、学校に相談を。

GCSEとAレベルはどう違う?

GCSEの日本語は...

義務教育の中で学ぶ外国語の一つ。日本の中学で学ぶ英語ぐらいのレベル。スタート時の日本語力が高い生徒さんの場合、成績の予測が比較的しやすいです。

 

Aレベルの日本語は...

  • リサーチ課題(自由研究)が含まれます。テーマを事前に選び、授業やネットの記事などで深い知識を得ることが必要。試験では調べた内容に言及しながら作文を書きますが、試験問題は毎年異なるので覚えていることだけを書くわけではありません。この課題は日本語力だけではなく準備の質が成績に直結します。

  • お子さん自身がレッスン外で進める部分が大きいです。日本語にどれだけ時間をかけられ、課題を遂行できるのかは先生にも予測できません。スタート地点の日本語力がやや低くても、自主勉強ができ、先生の指導をしっかり活かせる人は良い成績につながります。

  • 作文は求められる文法表現を使うことが重要です。ネイティブ話者が読んで上手だと感じる作文でも、試験の求める内容からずれていると高得点にならない傾向はGCSEよりも厳しいです。

GCSE日本語を受けていないが可能?

所属している学校で日本語Aレベルを受ける場合は学校の判断になります。Aレベルの教科選択はGCSEが6(学校によっては7)以上であることが一般的な基準です。良い成績が期待できる場合はGCSEは受けていなくても許可してもらえると思います。一般の試験センターで受験する場合は費用を払えば誰でも受けられるのではないでしょうか。

2026年夏からの変更

一部の問題で設問言語は日本語から英語に変わります。受験者の負担を減らす目的で、英語が第一言語の受験者は楽になります。相対的には成績にあまり影響がなく、受けたい年度を決めるポイントになるほどの変更ではないと思います。

Aレベル日本語の廃止を回避

以前にAレベルの外国語の選択科目を縮小する動きがあり日本語も廃止になる予定でした。幸い、継続を望む先生方の署名活動により廃止の危機を免れました。詳しい記事はこちら

Aレベルの教科選択

基本情報

Aレベルは通常、行きたい大学のコースに関連のある3教科を選びます。1、2教科はコースによって指定されており、3教科目は何でもよい場合が多いです。中には4教科選択する人もいて、試験まで4教科の勉強を続ける人、途中で自分に合っている3教科に絞る人がいます。科目の選択において繋がりの強い2教科+アートや外国語を1教科という組み合わせはとても一般的です。

3教科の例

Entry Requirement(リクワイアメント)と呼ばれる合格条件は各大学のウェブサイトに掲載されています。大学名・コース名・合格条件(Aレベルの成績)・Aレベル必須教科が書かれています。2024/25年度の例です。

 

  • シェフィールド大学 コンピューター科学コース

 A*AA (Mathsは必須)もしくはAAA(MathsとComputer Scienceが必須)

 

  • ヨーク大学 心理学コース

AAA (理数系から1教科必須、できれば2教科)

 

上記の大学はコースに関連が高い教科を2つ勉強した人への配慮がありますが、特にない場合も多いです。また、指定のない教科は自由に選べます。

日本語を3教科の中に含める

私の教室ではこの選択をした生徒はまだいませんが、指定のない教科の枠があるわけですからAレベル3教科に日本語を含めることは有効だと思います。ただし、心配な点もあります。

 

  • ネイティブなので大学に選択を認めてもらえないかもしれない

  • ネイティブなので高成績でも大学への印象が弱いかもしれない

 

申し込む全ての大学に確認が必要です。OKと言われた場合も勉強は難しいので緊張すると思いますが、それがお子さんに最良と決まったらぜひがんばってください。

4教科の例

Aレベルを4教科以上受験した場合について説明がある入学条件を挙げます。2024/25年度の例です。

 

  • バース大学 社会学コース 

AAA (指定無し)もしくはABBB(MathsかStatisticsは必須)

 

  • ケンブリッジ大学 美術史コース 

A*A*A or over (指定は無くお勧め教科として紹介)

History・ History of Art ・ English (language or literature) ・Languages・Art & Design・ Mathematics

このようなリクワイアメントに説明がない大学も多く、日本語を4教科目に入れたらどんなアドバンテージがあるのかは大学とコース、成績によって異なると思います。また、ネイティブの外国語Aレベルが有効かどうか大学に問い合わせる必要があります。

日本語を選択する強み

例えば入学条件BBBの大学があったとします。試験結果がBBCの人は条件に満たなかったので不合格(実際には大学の判断、各年度の応募者状況で違います)になったとします。この時に日本語を4教科目に受けていたらどうなるでしょうか。BBC+日本語がCの人はオファーをもらえるチャンスがあるかもしれません。BBC+日本語がBだったら総合でBBB以上なので合格になるのではないでしょうか。入学条件にAが入るような大学でも同様のことがあると考えられます。過去の生徒たちには日本語以外のことは特に聞かないため、これは私の想像です。

 

Aレベルの3教科+日本語を学んでいる人は毎年一定数います。ネイティブでも受験に有利になるケースがそれなりにあるのだと思います。また、4教科目ではなく3教科に含めても良いと大学が認める場合(私の短い経験ではまだ会ったことがありませんが)日本語に自信がある人は他の2教科に集中しやすいでしょう。ぜひ大学にお問い合わせください。

 

一方で、大学受験者の大多数は3教科で申し込むのが現実です。Aレベルは各教科の勉強が本当に大変だからです。4教科目の日本語は大学受験に有利だからというだけでなく日本語を学びたいというモチベーションがある人が選択しています。

 

  • Aレベル各教科の勉強は大変

  • Aレベル日本語の勉強も大変

  • 4教科目に日本語を勉強すると選択肢が広がったり合格チャンスが増える可能性あり

  • 日本語を途中で中止しても他に3教科あるならAレベル受験にはあまり影響がない

 

がんばってください。

UCASポイントとグレード

A *56 A 48 B 40 C 32 D 24 E 16

大学受験の申し込みは英国でUCAS Applicationと呼ばれAレベルの成績がUCASポイント(Tarrif Point)という数字に換算されます。Aレベル以外の大学受験方法もあるためポイント制度で統一されているようです。通常の3教科に加えて日本語Aレベル試験を受けたらポイントが上がると考えられます。

 

ただし、Aレベル受験者の場合は大学が一番に見るのはメイン3教科の成績です。例えば、C4つの人やC2つ+B2つの人は、B3つの人よりUCASポイントが高いですが、入学条件がBBBの大学に確実に行けるのはB3つの人です。B2つ+C2つの人にはもしかしたらBBBに近い総合力があると見てもらえるかもしれません。でもそれはUCASポイントというより成績に対する判断であると界隈では言われています。もちろんUCASポイントが重要な場合もあると思います。

 

他のコミュニティ言語の受験生の例:

ネイティブだからアラビア語ならAかBが取れそうだけど・・・(Reddit)

​ご心配・質問

保護者の方のご心配

  • 勉強はどのぐらい大変か

  • 大変さに見合う結果が得られるか

  • 他の教科に集中したほうがよいか

  • GCSEは9。準備1年でY12で受けられるか

  • Y13で受けたいが他の教科と両立できるか

 

このような質問をいただいた時にお伝えしている内容をまとめました。お子さんがAレベルに興味を持つほど高いモチベーションをお持ちなのは素晴らしいことです。少しでもご心配を軽くし、お子さんの挑戦を見守るお手伝いができれば幸いです。

勉強時間

学校でAレベル日本語を選択できる場合は週に6時間程度の授業を受けます。個人レッスンなどで対策する場合、学習時間はネイティブ受験者でもレッスンと自主学習を合わせて週3時間ぐらい必要です。リサーチ課題や文学の分析課題はレッスン外で行うことが多いからです。

大変さに見合う結果が得られるか

始める前の参考になるものを考えてみました。

 

GCSEの成績を基にした政府のガイド

5=C、6=B、7=A、8&9=A*

私はこの目安は楽観的だと思います。日本語が8/9だった人でも必ずA*になるとは言えません。学校で6時間勉強する教科と同じように考えるわけにもいきません。

 

私の独断による目安

GCSE 7→Aレベル目標 DからB (2年間)

GCSE 8→Aレベル目標 CからB (1年間)BからA(2年間)

GCSE 9→Aレベル目標 BからA (1年間)AからA*(2年間)

 

以上は週1の日本語レッスンを受け、課題にしっかり取り組んだ場合です。本人の熱意と努力などによりこの基準より上または下になることもあります。

 

優秀なネイティブ受験者が多い教科なので成績を意識しすぎると気持ちが苦しくなります。大学受験の一般的な感覚としてAはすばらしい成績、Bもよい成績です。

他の教科の勉強時間が減るのはよくないか

始めてみるまでわからないことですから不安だと思います。そこで、Y12の学校の試験時期を節目にするのはどうでしょうか。学校で大きな試験があった後でお子さんに「日本語をこなせる余裕や計画性があったか」「スクールレポートをもらった時に日本語が悪影響だと思ったか」など、判断してもらうことをおすすめします。

Y12で受けるか迷う

Aレベル試験の申し込み(UCAS Application)はY12の夏に試験を受ける場合、締切が1月下旬です。1年で準備したい場合はこのスケジュールに合わせて12-1月にレビューを行うのはどうでしょう。逆に言えば秋から12月までは悩まずに勉強に集中したほうがいいです。軌道に乗れたら、そのままがんばって夏まで行けると考えていいのではと思います。

 

冬休み明けになっても不安があるようでしたら2年対策への切り替えをおすすめします。2年目にもっと不安になってやめ、貴重な時間が無駄になってしまう可能性を1年目からお子さんが心配している場合や、他の教科との両立がプレッシャーになる場合は日本語を続けるのは難しいのではないでしょうか。

Y12で終えておくとよい点はY13のときに他の教科に集中できること。また、大学から仮オファーをもらった後に志望校を2校に絞る段階があるのですが、この時点で日本語の結果が出ている人は検討材料になるかもしれません。

Y13で受けたいが他の教科と両立できるか

2年間のAレベル日本語準備が必要で、お子さんが挑戦したい場合はぜひがんばってみてください。学校のポリシーで日本語をY12で受けることができず、Y13で日本語を含め4教科の試験を受ける受験生はいます。計画的な勉強が必要ですが、決して誰もやらないことではありません。他の選択教科にプロジェクトワークが多く試験が少ない人は多少両立しやすい(逆に感じる人もいます)かもしれません。

私の教室のAレベル受験生の学年

Y13: 2024年1名・2025年1名・2026年3名

Y12: 2023年1名・2024年 1名・2025年2名

今のところY13になってからAレベル日本語を中止した人はいませんでした。少し検討してやめた人たちはY12の2月ごろまで様子を見て、Aレベル目的ではない日本語コースに移りました。

A*を目指すための準備期間

かなり特別な存在ですが、1年間の学習でA*を獲得する人はいます(GCSEは9)。私の教室で1年対策で受け入れできる生徒さんはB以上を目指せそうな人です。数ヶ月後にAを目標にできるか手応えがわかってきますが、短期間のレッスンと提出物で測れることには限界があるため、日本語力が高い生徒さんでもその先を予測するのは難しいです。受験生には最後まで自分を信じてがんばってもらいます。

 

また、日本語が好きで、1年で終えるより2年、可能な場合はそれ以上勉強している受験者もいます。結果的にA*などの最高成績につながりやすいです。ただし、GCSEは9で2年以上勉強してA*には届かないというケースもあります。お子さんの個性と教科の深い部分の相性や当日の体調、運も影響します。

お子さんがのんびりしている

最初の2ヶ月ぐらいは自然な学習の様子を見てみるのもおすすめです。予め時期を決めておいて日本語の先生に面談をお願いするのはどうでしょうか。その時に宿題とレッスンでの様子を聞き、そのままで目標に届きそうか客観的にお子さんにつたえてもらう機会になります。​私の教室では先生はターム中、毎週のレッスンと宿題・課題のフィードバックに集中しています。また、お子さんは現地校の勉強や試験などもあります。お互いの忙しい時期が過ぎたタームの終わりごろに必要に応じて面談を提供しています。

作文を見て心配になった

日本語Aレベルの採点基準は受験者以外に簡単に説明できない内容であり、ネイティブ話者が読んで不自然な文でも満点近いこともあります。高得点になるポイントは他の部分にあるからです。先生は優先順位をつけながら指導していることでしょう。他の教科と同じような気持ちでお子さん自身に任されたことだとお考えいただけるとありがたいです。

試験の内容

試験の構成

試験は3つで、成績は合計点に対して与えられます。全体に占める配分によって1点の重みが調整されます。

 

Paper 1 2hs 30 min 40%

  • Section A: Translation into English (20 marks)

  • Section B: Reading (20 marks)

  • Section C: Writing (research question) (40 marks)

  • ポイント: Section C - 事前の「自由研究」をふまえた作文

 

Paper 2  2hs 40 min 30%

  • Section A: Translation into Japanese (20 marks) 

  • Section B: Written response to works (literary texts) (45 marks)

  • Section C: Written response to works (literary texts or films) (45 marks)

  • ポイント: Section B/C - 事前の 文学・映画の学習内容をふまえた作文

 

Paper 3 2hs 15 min 30% 

  • Section A: Listening comprehension (30 marks)

  • Section B: Listening, reading and writing questions (30 marks)

  • ポイント: Section B - オーディオと文章で与えられる情報をまとめ、意見を書く

​対策のポイント

私の教室ではPaper1の自由研究とPaper2 の文学・映画分析の対策から優先的に取り組みます。しっかりした事前準備が必要です。

Paper1の自由研究とは

試験では生徒が自由研究(リサーチ)を行ったテーマに関連した読み物が用意されています。それを読み、事前に行ったリサーチの内容を踏まえて600~700字程度の作文を書きます。自由研究のテーマは4つの中から生徒が選びます。

 

(例) テーマ1: 「 家族関係や人間関係につき、3点について調べる」

3つのポイント:伝統的な家族構成・核家族・家庭内の人間関係

試験の時はこの3点に言及しながら設問への答えをエッセイにまとめます。

自由研究のルールと進め方

受験者自身が行うように決められています。他者のアドバイスを受けてはいけないことになっており、先生が事前に指導できる内容も一定までです。具体的な資料を与えることはできません。

 

先生は受験者が調べてきた内容に対するフィードバックを行うことで指導します。

家庭でのサポート(自由研究)

ルールがあるためリサーチの手つだいは控えてください。また、リサーチ中の疑問は受験者自身がどんどん先生に質問したほうがいいです。

Teachers must not:

• teach the content of the research subjects to students or provide sources.

Students must:

• initiate and conduct their own research, and develop their research skills when investigating their research subject.

If malpractice is found to have taken place, a penalty may be applied dependent on the circumstances and severity of the malpractice. For full details on malpractice, please see the section entitled Malpractice and the JCQ document Suspected Malpractice in Examinations and Assessments 2016-17.

(Pearson Edexcelの資料より引用)

Paper 2 文学と映画の分析

事前にレッスンで学んだ内容を踏まえながら、当日見る試験問題に答えて600-700字程度の作文を書きます。課題となる作品は選択の中から受験生と先生で選びます。

 

文学の課題:「どんどん読めるいろいろな話」(全部)「キッチン」(「キッチン」1のみ)「窓際のトットちゃん」(全部)の中から1冊か2冊選んで勉強します。

 

映画の課題:「千と千尋の神隠し」「ディア・ドクター」「誰も知らない」の中から、文学が1つの場合のみ1つ選びます。

​試験問題の例

キッチン (吉本ばなな)
(a) 桜井みかげが人のために料理を作ってあげることには、どんな意味がありますか。説明しなさい。
Explain what the significance is of Mikage Sakurai cooking for others.
OR
(b) 吉本ばななは、「キッチン」の中で、社会から外れた人の立場をどのように表現していますか。考察して、あなたの意見を述べなさい。
Examine how Banana Yoshimoto portrays people who are outside of mainstream society in "Kitchen".

 

Pearson Edexcel Sample Assessment Material issue 2 July 2024

ご家庭でのサポート(文学と映画)

課題の本を一緒に読んで話したり、映画を観たりしていただくことができます。お子さんがAレベルで学んだことを教えてくれる場合は考えをまとめるよい練習になります。

漢字

GCSE 200字 + Aレベル 400字

読める漢字を増やすことを優先しながら勉強し、作文で書く漢字は書き練習もしておきましょう。

​​漢字リソース:Japan Foundation UK A-Level Resources (A Level = AS+A2)

文法と語彙

Aレベルで学ぶべき文法や語彙はPearson Edexcel Specificationに指定されています。高得点の作文には必要な知識であり、レッスンの中で習得します。

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